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泉流山の創窯は古く、江戸時代後期・ちょうど幕末の志士たちが活躍する少し前の文政9年(1826年)にまでさかのぼります。
萩はもともと長州藩の御用窯がいくつも立ち並ぶ萩焼の産地として著名でしたが、当時財政難にあった藩は財政再建のために商業用陶磁器の奨励政策を行いました。
これにより萩の中心地より少し離れたここ小畑[おばた]地区に「天寵山」・「素玉山」などいくつもの窯元が築かれました。
泉流山もその中のひとつ。
創窯当初の黎明期には磁器の生産などをしていましたが、藩の政策に左右されたことや他産地との競合によりやがて衰退、のちに萩焼の生産に転換し、その後時代の変化とともにさまざまな変遷を経てきました。
「古萩獅子置物」
─(財)吉賀大眉記念館収蔵─
以来、泉流山は萩の名窯として伝統的な精神や文化を重んじ、何よりも「本当の萩焼らしさ」を大切にしてきましたが、昭和の中期〜後期に大きく変革を遂げることになります。
当時当主として経営にあたった「吉賀大眉」は萩焼の持つ芸術性を追求し、独自の造形により[美術品としての萩焼]を確立、陶芸界に大きな足跡を残しました。
平成3年、文化功労者・芸術院会員でもあった大眉の死去により、その業績を讃え「財団法人・吉賀大眉記念館」が認可され、同敷地内に開館しました。
これにより現在では「窯元」と「美術館」が共存する文化的な場所となっています。
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